3/25/2015

サンフランシスコ、エッセイ: サンフランシスコのバス 1. 市内の路線

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     サンフランシスコのバス

     1 市内の路線



Light Rail(ライトレール)と言われるミュニの路面電車は別として、サンフランシスコ市内を走るバスは、ミュニバスのディーゼルカーと電動バスの二種類。52の路線が街の至る所に走っている。路線によって本数がまちまち。ダウンタウンや人口の多い地域は本数が多く、5分10分おきに来るが、住宅地や工業地帯などは本数が少なく、20-30分来ない事がある。その分を地下鉄や路面電車などが補っている。私はのんびりしているので、待つのは苦にならないが、サンフランシスコは夕方になると寒くなり、風も強くなるので、夕方以降バス停で寒い思いをするのはちょっと辛い。バスが来る頃には冷えきってボーッとしてしまうこともある。アメリカの都市の割には比較的交通の便はいいが、やっぱり車があれば便利だな、と思う。


 マーケットストリート沿いは、いろんな方向にバスが通っているので、目的地によって違う番号の路線に乗る。

 マーケットストリートからチャイナタウンを通ってフィッシャーマンズワーフ方面に行く路線は、10, 12, 30, 91の4路線。深夜便の91番を覗き、昼間は中国系住民と観光客で込み合っている。このバスにストレスなく乗りこなせたら、他の混んでいるバスは余裕だと思う。中国系の人たちは、押し合いへし合い乗って来る割に、ちゃんとお年寄りには席を譲り合って乗っている。私は持病はあるが、アメリカでは見かけは若く見られるので、この路線では、疲れている時でもほとんど立っていた。ただ、朝夕のラッシュアワーだと、本数が多く、違う路線のバスが同時に来ることもあるので、待つことなく乗れる。ダウンタンの中でアジアを感じられる場所なので、よく行く場所だ。

 ダウンタウンのGeary St.(ゲーリーストリート) を通る38番線は、大きな通りを通る路線。普通のバスもあるが、急行を表す38L (LLimited)や特急を表す38X (XExpressの意味) も走っている。急行や特急バスは止まらないバス停がある。ちゃんと見て乗らないと、行きたいバス停に停まらないことがあるので要注意。(以前郊外に住んでいた時に9番のXに乗ったら、高速道路に上がってしまい、降りたいバス停を通り過ぎてしまった。それで、高速を降りた所のバス停で降りて、また普通バスで逆向きに戻って来たことがあった。)ゲーリー線はサンフランシスコの西の端迄行くのに便利で、Japan Town(日本街)やオシャレなFillmore street(フィルモアストリート)Golden Gate Pak(ゴールデンゲートパーク)やPresidio(プレシディオ)方面などに行ける。コールデンゲートパークの美術館や日本庭園などに行く人、郊外の住宅地に住んでいる人の通学、通勤などの足にもなっていて、いつもどの線も込み合っている。Clement street(クレメンテストリート)やIrving street(アービングストリート)は観光地化はされていないが、中国系の店が集まっていて、俗にセカンドチャイナタウンと呼ばれている。比較的地価が安い住宅地に家を購入した中国系の人が住むようになって出来た地域だが、最近は中国系の店だけでなく、白人がオシャレな雑貨屋や本屋を出していたりもするので、街歩きとしても楽しい。当然そこに住んでいる中国系の人達も、便利なゲーリーバスに沢山乗っている。クレメンテストリートに行った時は、30分ぐらいかかったので、サンフランシスコって意外と広いな、と思った。観光地の、ダウンタウンのチャイナタウンに住んでいる中国人達より気分がゆったりしている気がした。それはどこの国の人達も同じで、都会の人はなんとなくせかせかしていて郊外にいる人はゆったりしている。バスの車中で自分の降りたい通りを隣の中国人女性に尋ねてみたら、周りにいた中国人2、3人が、一斉に降りる場所を教えてくれた。ダウンタウンのチャイナタウンだとみんな自分のことで精一杯という感じ。郊外に行くバスに乗ると地域による人の気分の違いも見られて面白い。のんびりした人に囲まれて、自分も気分がゆったりして来た。

 Van Ness(バンネス)線は、4749番の両方が走り、47番はマーケットストリートから、観光地のピア39があるBeach street (ビーチストリート)間の往復。49番は、バンネスストリートから今流行りのミッションストリートを越えて、サンフランシスコの南側にあるCity College(市立短大)迄をつないでいる。両方とも2車線の大通りを通り、主要な場所をつないでいるので比較的本数がある。バス停の間隔も長いので早く走る。以前通っていたSan Francisco Art Institute(サンフランシスコ アート インスティチュート)やAcademy of Art University(アカデミーオブアーツ大学)に行く時によく利用していて、馴染みのある路線。元軍事施設だったFort Mason(フォート メーソン)は、海を臨む倉庫がある地区で、アートイベントやフードトラックが集まるOff the Grid(オフ ザ グリッド)というイベントなどが開かれる。日本でいうコンベンションセンターのような貸しイベント施設になっている。2014年の旅でもイベントで何回か行ったが、海が近いので夕方になると寒くて風がきつくなる。フォートメーソンからバス停のあるバンネスストリート迄少し歩かないと行けないのだが、寒いので、(昼間は半袖でも暑かったのに、なんで帰る時はこんな寒い所を一人であるいてんねん)と、愚痴りながら歩いていた。そういう時に限ってバス停にたどり着いてもバスがなかなか来ない。

 どちらが先にくるかは賭けになるが、バンネスストリートの一筋東側の、Polk street(ポークストリート)を走る19番線は、細切れに停車するが、ポークストリートはオシャレな店も多いので、街歩きをしながらバスを待ったりもできる。ただし、シビックセンター付近迄下って来ると、怪しそうな人も乗って来るので、ローカルの人との遭遇を楽しむ気持ちの余裕があるといいと思う。

 バンネスストリート沿いの店で記憶にあるのは、お世話になっていた銀行や画材屋さん。安くて美味しいビザ屋さんやコレクションが多いCDショップなど ポークストリートの方が行きつけの店は多く、巨大なコーヒー豆を挽く機械がレジ横にあり、コーヒーのメニューも豊富でオシャレな音楽が流れているインターネットカフェ。(今でいうサードウェーブカフェ)壁に大きなモダンアートがかけてあって、よくそこでネットをしたり、デッサンをしたりしていた。他にはタイやベトナムレストランや、スイーツのお店。スイーツやアイスは美味しくて中国系の人がやっていて比較的安かった。中国系スーパーは日本の食材もあり、チャイナタウンの店とは違って愛想がよく、英語も話せるので週一で食材を買いに行っていた。白人が個人経営しているレンタルビデオ屋はなぜかJ horror (日本発のホラー映画)がよく置いてあり、店員の好みに流されて、Jホラーにはまって借りていた時期があった。いい雰囲気の古本屋もいくつかあり、アート系の古本屋では芸大にいた頃、学校の課題のリサーチがてらにアーチストや写真家の本を物色していた。スピリチュアル系本屋では、気功の本やヨガのビデオ、セージの葉やインドの線香など、マニアックなグッズを買ったりしていた。世界中のスピリチュアルな本や、ディープな健康本や宗教の本がいろいろ置いてあった。他にも韓国人のおじさんが経営していた写真現像屋さん。写真を勉強していた時は、写真のことを教えてもらったり、現像代をまけてもらったりしてお世話になっていた。このポークストリートでも、最近の景気の変化で、これらのほとんどが閉店していて、新しいブテッィクや雑貨屋やオルタナ系のギャラリーがオープンしているようだった。雑貨屋ブームは日本だけだと思っていたら、サンフランシスコでも、グリーティングカードやアート系の本やデザインTシャツを置いているいろんな雑貨屋さんが増えていた。

 ミッション地区にはバートで行くのが便利。16 street駅か24 street 駅で降りると一番賑わった通りに出る。バスはバンネスからやって来る49番か14番がある。14番は急行や特急もあり、owl(フクロウ)という深夜便もある。リーマンショック後から、物価が安いミッション地区に人が移りだしたが、人が住みたい理由は交通の便の良さもあると思う。今ミッションはサンフランシスコ一熱い地域になっていて、新しくモダンなデザイナーズマンションも続々と建築中で、店もいろいろと、いれ変わっている。ミッション地区に住んでいた時があったが、仕事を手伝っていたメキシコ人の友人の仕事終わりに24 ストリートのあたりにあるコインランドリーに行ったりしていた。ラテン系の人が経営していて、ラテン系の利用者が多く、安くて規模が大きい。天井からテレビを吊り下げて、ケーブルテレビでスペイン語の放送を流していた。入り口には掲示板があり、スペイン語で中古品を「売ります。」「買います」と言った広告が貼ってあった。コインランドリーは、ラテン系住民のコミュニケーションの場にもなっていた。広告は主に中古車や家具などの生活用品。他に英語教えます、と言った広告もあった。噂ではミッションはドラック売買やギャングなどで夜が危ないというが、最近は以前程でもないと思う。ただ、時折夜のバスには、若者が、大きなラジカセで大音響をかけたり、バスの窓を叩き割ったりすることもあるので、あまり慣れていない人はオススメではない。対照的に、隣のValencia street(バレンシアストリート)は、雰囲気が変わり、白人向けのオシャレなレストランや小売店があるので、比較的安全だと思う。今はどちらの道もいろんな種類の店があるが、元々ミッションストリートは、ラテン系の店が中心だったため、通りを一つ隔てただけで、違う国に来たぐらい雰囲気が違っていた。



  ここ迄に紹介したバス以外は、本数は比較的少なく、バス停でバスを待つのを覚悟して向うか、路面電車や地下鉄を併せて乗る方法を考えて行くのがいいと思う。待ち合わせなどで時間が決まっている場合は、30分から1時間位の時間をみて向かう。ただ、鈍行だと一つ一つの筋を停まったり、バスが込んでいてなかなか進まなかったり、事件やアクシデントがあって途中で降ろされたりすることもたまにあるので、その分の時間もみて行動した方がいい。ある時は、ビジネス街の中を通る路線で、ドライバーが「途中で道路工事をしているから」と、違う道を通りだして、その前にアナウンスで、「回り道をするので、途中の道で降りたい人は降りて下さい」、と言っていた。慣れたローカルの客は文句も言わずに目的地の近くの道で降りて行った。また別の時は、午前中の通学途中で、バスの後方で暴れだした人がいて、ドライバーが警報ボタンで警察を呼んで、自分も含めた他の乗客はそこで降ろされた。案の定私は授業に遅れて、先生に後で理由を説明したことがあった。時間の予測が出来にくい分、やはり住むなら車か自転車が欲しい。ただ、ダウンタウンでは駐車場代が高く、路上駐車場も早い者勝ちで見つかりにくいので、車を持っていても、バスなどの公共交通機関を利用する人も多い。




参考サイト

SFMTA (Municipal Transportation Agency)


Fort Mason Center

3/01/2015

マーケットストリートの日常 3.クリティカル・マス

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エッセイ続き

マーケットストリートの日常
3.クリティカル・マス

  アメリカは車社会だが、サンフランシスコは車がなくてもある程度暮らしていける。サンフランシスコ市内は、交通の便もいい代わりに駐車料金が高いので、車を持っている人でも、あえて公共交通機関や自転車で通学、通勤している人がいる。自転車や車を利用して、駅まで行く、パーク アンド ライドの人も多い。最近は、エコロジーで、ベイエリアで自転車利用も推奨されてきていて、市内の主要道路にはバイシクル レーン(自転車専用レーン)ができた。サンフランシスコ市のバイシクルレーンは車のレーンと一緒なのでまだ危ない感じだが、バークレーに行くと、ちゃんと自転車のみのレーンがあったり、自転車専用のサイクリングロードの路地もあったり、かなり走り安くなっていた。
 
 サンフランシスコで自転車が乗られているきっかけの一つに、クリティカル マスというイベントがある。クリティカルマスは、1992年の9月の最終金曜日に、サンフランシスコのサイクリストによって始まった。それに賛同したサイクリスト達が毎月集まって、省エネ社会を訴えて、自動車に混じってゲリラ的に笛を吹いたり、仮装したりして市内を走り回るようになった。まさにクリティカル マスは、70年代から社会運動を牽引してきたサンフランシスコならではのイベントになった。
 
 私は、市民の方たちがどこで自転車を買うのか気になった。ミッション地区などに雑誌などにもよく取り上げられる自転車屋が何軒かある。日本で売っているようなママチャリはなく、小型の折りたたみ自転車か、手づくりのかっこいいスポーツサイクルが主流になっている。そのためか、300ドルからの価格帯で自転車を売っていて、日本の感覚からしたら高めだ。90年代にロスにいた頃には、シティーカレッジ(公立の短大)に自転車で通って来る生徒もいた程、「手軽な乗り物」感があったのだが、エコロジーで自転車に乗ることがトレンドになってきて、割高になってきたように思う。最近はマーケット ストリートや、ミッション ストリート沿いに、新しい自転車屋も出来ていて、自転車だけでなく、オシャレなバイシクルバックやウェアーを売っている。NPO法人の自転車屋が、自転車をリサイクルして安く提供したり、自分で組み立てる方法を教えている所もある。
 
 以前は様々な人が集っていたクリティカルマスだが、自転車の価格や傾向も変わっていることもあってか、最近は自分のお気に入りの自転車の『お披露目会』的な集まりになっている感じで、イベント参加者は以前より減っているようだが、本格的な自転車ファンが参加している。
 
 観光でサンフランシスコに来た人も気軽に自転車生活を楽しめるように、市内のあちらこちらに非営利団体のバイクシェアーや私営の自転車レンタルやツアーをしているショップがある。目立っているのは青い自転車のバイクシェアー。決して安くはないが、市内の要所要に自転車用のドック(備え付けの置き場)があり、説明の看板とクレジットカードを入れる機械が立っていて、カードさえあれば、いつ、誰でも無人で自転車を借りることが出来る。ドックが市内のあちらこちらにあるので、返したい所で返せる仕組みだ。無人だが、お金を払わないと自転車の鍵が取れないようになっているので安全だ。その他に、フィッシャーマンズワーフ、ユニオンスクエアー、ゴールデンゲートパークなどのバーク&ライドや、市内からゴールデンゲートブリージ迄の往復の旅行でレンタルできるシステムのところもある。他は、ヘイズバレーでイケメンのお兄さんが、レンタサイクルや、個性的な自転車ツーリングをしている店があったり、民泊で知られているairbnb(エアービーアンドビー)が主催している自転車ツアーなど、至る所で自転車に乗る機会が用意されている。ただし、サンフランシスコは坂の街なので、体力がいることと、霧がかかってくるといきなり雨が降る場合もあるので、その辺の心づもりは必要だ。結局私は滞在中はバスの定期を買って移動していたので、レンタルサイクルはしそびれてしまった。希望は、中古でもいいから自分のチャリをゲットして乗り回したい。いずれは現地に住んでサイクル生活を楽しみたいと、思う。アメリカに住んだら車も持ちたいが、バスや電車に自転車を乗せてあちこち行くのも憧れる。


参考サイト
SF Critical Mass
Valencia Cycley
Mission Bicycle
Pedal Revolution
Huckleberry Bicycles
Bike Kitchen
City Ride Bike Rentals
Parkwide Activities
San Francisco Bicycle Coalition





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