5/12/2015

サンフランシスコのバス  3. バスの乗客

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3 バスの乗客


 最近の日本の公共交通機関は、スマホや本で時間を潰して、なるべく静かに他人に迷惑をかけないようにして過ごしている雰囲気だ。私には横一列になってスマホをいじっているのが滑稽に見える。


 車社会のアメリカだが、サンフランシスコのような都市部では、結構普段から公共の乗り物を使っている人が多い。エコロジーを意識している人もいるし、市内の高い駐車料金を避けている人もいる。バスや電車の中で話す声のボリュームは普段と同じように高く、あまり他人に気を使っている、という感じはない。楽しい話が聞こえる場合は、こっちも笑えるのでいいが、人種間の噂話などは、差別的発言もあるので、あまり聞きたくない。大声で電話をかける人や、ブーンボックスと言われる大型のラジカセをドンドン響かせる若者もいる。ブーンボックスは他の乗客も迷惑そうな顔をしているが、夜はギャングが乗っている場合もあるので、みんな見て見ぬ振りをしていた。
 
 ある時、ミッション地区の16ストリートに向う、22番線に乗っていた。中学生か高校生位の黒人の学生のグループが乗って来て、周りに構わず大声で話していて、挙げ句の果てに、お互いに物を投げはじめ、ついには他の乗客にあたってしまった。当たった人はそれでも我慢していたが、周りにいた勇気ある白人の乗客は、ついに口々に「やめなさい!」と言って諭しだした。決まりが悪くなった生徒達はBARTの16 street駅でゾロゾロと降りて行った。ちょっと緊迫感のある瞬間だった。

 またある時は、込んでいるバスで立ってフラフラしていると、乗り合わせたロシア人のおばちゃんが、
「ちゃんとどっかもっと来なさいよ」と言ってきたり、気さくな黒人男性は、私を中国人と間違えて、
「ニーハオ」と挨拶をしてきたりする。めんどくさい時は会釈でやり過ごすが、疲れてイラッとした時は、
”I am not a Chinese.” (「中国人ではないです。」と返すと、
「ほー。ではなんだい。」と言うので、
「日本人」と返事をした。知らない人同士、バスの中で会話をするのが普通になっていて、都会の割には、良くも悪くもフレンドリーな環境だ。

 以前マイケルジャクソンが亡くなった日もたまたまサンフランシスコにいて、乗り合わせたバスの中で知らない人同士が、その噂をし合っていたのを偶然聞いて知った。(サンフランシスコ住民の情報網はsnsよりも早い!)と思いながら、その後ろで聞いていた。
 
 込んでいるバスで座っていると、かなりの確率で白人のおばあさんに、指で「立て!」といったような合図をされる。アメリカではアジア人は若く見られがちだが、そう言ってくる人は、結構健康そうでしっかりしている人だったりする。「立て!」と言われる時に限って、疲れてヘトヘトの状態で座っている場合が多いので、
「無理だ。」と言うと、何気に周りの人に、
「こいつは立ってくれない」、と愚痴りだすので、逆にいづらい感じになる。隣に座っていた20代位の男の子が、気を利かせて立つと、
「本当はこの子が立つはずなのに」とまだぶつぶつ言っている。日本でも思うのだが、優先座席は、年寄りと病気の人どちらを優先するんだろう..とにかく、サンフランシスコでは、高齢者優先の雰囲気が暗黙の了解であるようなので、無理矢理立たされる、こともあることを覚えておこうと思う。


 遠距離乗る場合でも、バスの中でいろんなドラマがあったり、停車駅の放送がなくて、降りる場所がわかりにくいことがあるので、常にまわりに気を配っておかないといけないので、本やスマホなど見ている余裕はない。ましてやスマートフォンは、盗難に遭うので公共の場所での仕様は控えた方がいい。日本のように(バスや電車の乗客が並んでスマホをいじくっている)、という光景はまずあり得ない。

続く.... 

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