7/16/2017

サンフランシスコのホームレス

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サンフランシスコのホームレス

1 アカデミー芸大の友達ホームレス

 Academy of Art Universityという芸大には市内のあちこちに離れて、キャンパスや、寮がある。学校が空いている不動産を次々と買って、いろんな施設にリフォームして使うため、一つ一つの施設が離れているのだ。キャンパスとそれぞれの寮などをつなぐために、学校のバスが市内を走って生徒やスタッフを乗せて回っている。
私が勉強していた時、住んでいた寮から近い美術学科のキャンパスの近くのカフェの前で寝ていたホームレスがいた。
カフェの人もそこに集う美大生たちも、一緒にコーヒを飲んで、話していた。生徒たちには何の偏見もなく、普通に「いつもそこにいるおじさん」という感じで接している感じだった。
ある生徒は内緒で寮に入れて、ドローィングの宿題に彼を描いてしばらく同居させていた。
彼の名前は忘れてしまったが、結構その辺りでは知られていた。
ある時、学校に寮にホームレスがいることがバレてしまい、品位を損なうと追い出させてしまった。
そのホームレスは、結局いつものカフェの前にしばらく寝泊まりしていたが、私がサンフランシスコを離れている間にいなくなっていた。
彼は病院でも入ったのか?のたれ死んでしまったのか?
どこかのホームレス用の住居に入ったのか?

その辺りを通ると、たまに彼のことを思い出す。


2 ホームレスの日々の暮らし

ホームレスの暮らしと言っても、千差万別。
低所得者層用の簡易宿泊所にいて、パウエル ストリートで物乞いする人もいれば、ミッション地区で引越しした人の荷物のいらないものを道端で売ったりする人もいる。
高速道路の高架下にダンボールで家を作って寝ている人もいれば、テントもダンボールも持たない。その辺にごろ寝の人も。
せっかく恵んでもらっても大半の人はドラッグに使ってしまう。
何人かの人は、最近では日本でも見るようになった、ビックイシューを売って生計を立てている。中国人の中には、ホームレスでなくても、生活のため、あちこちのゴミ箱をあさって缶を集める人もいる。以前、通っていた芸大のキャンパス内のゴミ箱まで漁っていたのでびっくりしたことがある。そこは景色のいいところにキャンパスがあるので、観光客もカフェに入ってこれるし、セキュリティーが甘いので、黙認されているようだった。
 空き缶はCala Foodsのスーパーの外にある機械で、コインに変えられるので、集めて持っていく人がいる。ホームレス対策だけでなく、エコで、市民の経済に優しいのでいいと思うが、一度捨てたものをまた拾うのは、やはり清潔ではないので、よっぽど勇気があるか、追い詰められた人でないとできないと思う。

よくたむろしているのは、市庁舎の近くの図書館の裏。
図書館も黙認。
階段状のデザインになっていて、その階段に横たわって寝る。
荷物はスーパーのカートを取ってきて、全財産を入れている。
昼間は、図書館の隅の椅子で本を読んで時間を潰す。
トイレで顔や体を洗うので張り紙がしてある。「ここで体を洗わないでください」
当たり前やろと思うがサンフランシスコではバスターミナルの洗面台でも体を洗っている人を見てしまった。 
それで、市は苦肉の策で、ホームレスが使っていい、ホームレス用のシャワールームを用意した。
行ったことはないが、聞くところによると、日本のビーチにあるシャワー室のような感じらしい。
かなり臭いらしい。

ホームレスだからといって、教養をつけるのはいいことだと思う。
NPOがホームレスに絵を教えたり、一緒に音楽を聴くところもある。
食べ物は、クリスチャン系のフードキッチン、ただで缶詰などを配る日曜礼拝。
並んでいたら、飢えることはない。人によっては何周も並ぶ人もいるが誰も咎めない。

芸大で有名になったホームレスがいた。
フォーマットが変わってしまったので、今のコンピューターではお見せできないが、専門のところではフォーマットを変えてくれたら見れるかもしれない。ある、ホームレスが、San Francisco Art Institute に住んでいて、そこに落ちていた雑誌の上から毎ページ漏らさずドローィングを埋めていた。クレヨン、ペン。キャンパスで拾ったのだろうか?
結構良く出来ている。
結局キャンパスで亡くなったらしいが、学校は彼の意志を継いで、 CD-R化して、生徒にセミナーで彼の話をした。
私もまだそのアーチストのCD-Rを持っている。
学校も当時知っていてキャンパスから追い出さなかったことが、彼の迷作を生んだのだ。

まさにアールブリュット。



3 ダウンタウンの新条例

 ホームレスはダウンタウンのそこらじゅうにいる。
市は古いホテルを低所得者やホームレス用のアパートにしているが、リーマンショック後、目に見えてホームレスが増えてきた。特に女性や中国系などのマイノリティーや若い母子やアーチスト崩れの人は以前見かけなかった人達を見かけるようになった。
観光立国として成功したサンフランシスコにとって、ホームレスの存在はあまり気持ちのいいものではない。ましてや、麻薬常習者が誰彼なしに麻薬を買うお金をせびるのは、あまり気分のいいものではない。それでもいろんなタイプのNPOが彼らを援助しようとしている。主だったのは、食糧支援のスープキッチン、食べ物をそのまま寄付する教会系の団体や、元ホテルをモダンにリフォームした、ホームレス用住宅。立ち直りや趣味の支援のアート系の団体。
そこで、新しく考えたのが、海沿いのエリアにテントをたくさん作って、テント村を作ること。
カラフルなテントに炊き出し。シャワー。
申し分ないとまでは言えないが、一応の施設は揃っている。
だが、当事者にしてみたら、アパートの方が居心地がいいし、自分のテリトリーやつながりもある。海沿いだから朝晩は寒いし、一箇所に集められても逆に孤独感に陥る、というのが当事者の意見だろう。

たくさんのホームレスが入居を拒んでいて、市も手をこまねいている状態だ。

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